■'98ツールドコルスラリー観戦記(PD誌ツアー)

(PD7月号に掲載されたものの原稿です。微妙に違う?) 

初の海外旅行でいきなりツールドコルス観戦、フランス語はおろか英語もほとんど判らない。コルシカ島はラリー好きな人以外にはあまり知られていないような小さな島で、日本の海外旅行ガイド本にもナポレオンの生地としてかろうじて載ってる程度で情報がとても少ない。

 大きな期待と不安を胸に行って来ました。

 経由したマルセイユの空港で(自分自身が)金属探知器にひっかかって焦りまくったりしながら、やっと着いたコルシカのアジャクシオ。夜も更けたアジャクシオの街はフランス車を中心にヨーロッパの小型車がビッシリと路駐したオシャレな小さな街だった。

 一日目

 まずはヘッドクォーターに行ってラリーのパンフレット等をもらう。となりのホテルにはなんとトヨタチーム、三菱チーム、フォードチームの3チーム!が滞在していることが判明。マキネン、カンクネン、オリオールらのサインをもらう。おおっ歴代ワールドチャンピオン達にじかにサインをもらえるなんて!サインツやティリー、バーンズもいたんだけどなぜだか僕の死角を通り過ぎて行ってしまったらしい。ツアーの他のメンバーはサインをしっかりもらってるのに、ざ、残念。

 その後、海岸沿いのレストランへ行って屋外で昼食をとる。ここに限らず、フランス人は外で飲み食いするのが大好きらしく、あちこちにオープンカフェが見られた。例え渋滞の道路の目の前であってもあまり気にし無いみたいだ。で、ここで食べたシーフードのスープが絶品!のおいしさ。レストランのナイスバディのお姉さん(ちょっとおばさん)も親切でとてもいい気分だった。

 そしてアジャクシオの港(ヨットハーバーもある。)の脇の公園で行われる車検を見た。まだプライベーターばかりだが、たくさんギャラリーが集まっていてとても華やかだ。プジョーやルノーが多いが車種が多彩で、カラフルでカッコ良い。白くて同じ車ばかりの日本の国内イベントと大きく違っている。

 そのうちに一台、また一台とワークスカーが市街地を自走して!やってくる。うーんスゴイ。車検にはドライバーの参加義務はないそうなのでトップドライバーの姿は見えないが、今回カローラWRCで参戦のホルデリートは姿を現していた。とてもスマートできれいでした。

 最後に三菱やスバルのワークスが来る頃には車の目の前まで(なしくずし的に)入れたので木全さんにいろいろお話を伺うことができた。

 車検の後、三菱のパーティに潜入させてもらい、バーンズやレイドのサインももらうことができた。感謝。

 さて翌日からいよいよラリー観戦

 最初に行ったSS2は石作りの 狭ーいアーチ橋の連続する道。先頭ランナーが来る直前にはヘリコプターが超低空飛行しながら観客に注意をうながしコースの安全をチェックする。山間を縫うようにヘリが飛ぶ様はアクション映画を見てるようだ。すぐ目の前までヘリが迫ってくると、んなアホなとは思いつつもなんか機銃で撃たれそうな気がしてしまう。

 そしてエキゾストノートが響いてきた!と思ったら、爆音とともにカローラWRCがかっ飛んで行った。そしてランサーエボV、エスコート、インプレッサ…。何で車の名前で列挙したかというと、出走順が分かってなかったのと、不覚にも、急接近してくるラリーカーをファインダーに納めるのが精一杯でドライバーが誰だか判らなかったのだ。ミスファイアリングシステムの音をともなったホンモノのエキゾーストノートは大迫力で、ワークスカー独特の存在感を放っていた。

 しかし何が一番エキサイティングかって2分間隔ですっ飛んでくるラリー車の合間に平然とコース内を歩ける事だ。ワークスの10台ほどを見たらコース内を移動して次のSSへ向かわない事には1日に3つ以上SSを見られない。だからほとんどの観客が そうやってコース内を歩く。

 十分な逃げ場所が無いところも多いのでタイミングを見計らって、場所によっては走って移動しなければならない。これは怖いですよ。

 実際、撤収しようと橋を渡りかけると、今1台車が行ったばかりなのにフランス人が大声でなにやら自分たちに向かってわめいている。何事かと思ったら、もう次の車のエキゾーストノートが近づいている。やばい!次の車との間隔が詰まってたんだ!逃げろ!

 というわけで危うく難を逃れたものの、2分間隔とは限らないので気をつけなければいけません。ワークス以外は1分間隔だし。

 その後は最終日を除いて一日3SSのペースでSS観戦、三つのSSで雨に降られたのと場所によってはSSの見どころコーナーまで1時間位歩いたりとしんどいこともあったけど、盛りだくさんに楽しめた。

 ワークスカーの中ではスバルが一番存在感があった。ド迫力ブリフェン、鮮やかなカラーリング、ちょっと違うエキゾーストノート…そしてもっとも派手な走り。  エキゾーストノートといえばエスコートの音が一番個性的だった。パン!!パパン!!パン!!と鉄砲としか思えないような大きなミスファイアリングシステムの音で遠くからでもすぐ判る。

 走りについては残念なことにスバル以外はヘアピンでもほとんどグリップ走行でした。

 でもカンクネンだけは例外であちこちでスライドしていて、街角のギャラリーヘアピンでもコースアウトしそうな勢いでスライドしてギャラリーや隣にいたラリーハンター(カメラマン)飯島俊行さんをびびらせていた。しかしタイムは10番手位(後で知ったことだがデフトラブルのせいかもしれない)。

 

 そして最終日のゴール

マクレー優勝で、2位にはウエット路面が多かったにもかかわらずプジョーのデルクール、3位リアッテイ…といった結果になった。マクレーの優勝はロスマンズ(レプリカ)レガシィに乗る僕にとって、満足のいく結果になった。いい人オリオール(サインをもらうとき一番愛想良かった)や悲劇のヒーロー?ティリーが勝ってくれた方がおもしろかったが。ゴールの会場は車検と同じ場所で、かなりの人だかりで盛り上がっていた。 ポディウムに上がるインプレッサ/マクレー、まさにヒーローという感じでメチャメチャカッコイイ。地元フランス人のデルクール、オリオール( 6位に終わった)の時も大きな声援が上がる。下位のクルーも皆ヒーローだ。これだけ祝福されるのなら参加者も皆やり甲斐があるというものだ。とってもいいもんだなぁと思った。

 ふりかえってみて

 今回、生でWRCを見た最大の収穫はWRCのラリーのシステム(と言うほどでもないが)が実感できた事でしょう。車検やゴール、SSのスタートやゴールの様子や選手たちの表情、一般車に混じってバリバリ音を出しながら移動する、ホンモノのワークスカー。ギャラリーもラリーカーも1日SSを廻るとベースとなるアジャクシオに帰る。このへんはビデオではあまり紹介されないし、実際に行ってみなければ分からないでしょう。WRCがとても身近に感じられるようになります。

 ラリーを振り返ってみて、難点といえばあまり迫力あるシーンが見られなかった事と、今年はコースが今までと変わってしまって、海岸沿いの岩場のSS(プリメーラワゴンのCMでおなじみの場所)が無くなってしまった事でしょう。山の中のSSばかりになってコルシカらしさが相当薄れてしまった感がある。非常に残念。

 あとすごかったのは現地の普通の車の追い越し。ブラインドコーナーでも全然おかまいなしで、結構いいペースで走っている僕らの小型バスを次から次へと小さな車で抜かしていく。4台で完全に団子になってコーナーに突っ込んで行ったりもして、飛ばすのは解るけれど、あの無茶な追い越しはほとんどバカ。ラリーを見てエキサイトしちゃってるのもあるらしいけど… 

 

いやーしかしコルシカはとっても良いところだった。食い物はホントにうまかったし(魚介類のスープが絶品!)景色はいいし、女の人はきれいだし。みんな愛想いいし。

 

 詳しく書くときりがないんですけどある程度伝わったでしょうか。

 今度WRCを見に行くとしたら自分たちでレンタカーを借りて自分で運転してSSを廻ってみたいものです。

 1F=約25円でした。

<追記>OCT.03

ホテルもバスもツアーにおまかせ。観戦場所は同行のPD誌編集長がその場で適当に決めてました。(笑)

ラリー期間中アジャクシオのホテルは関係者、観客が集中しますのであらかじめ予約しとかないとやばいかもしれません。
私が泊まったのはNAPOLEONです。TEL (44)495-213001

天気が変わりやすいのでピーカンでも雨具必携です。
開催時期にもよりますが雨が降ると急に寒くなるのでブルゾンも用意しといたほうがいいかもしれません。

写真を撮るならフィルムをたっくさん持っていくこと。私は1ダースくらい持っていきましたが足りなくなりました。36枚撮り20本あると安心かな。一般的なデジカメでは走ってるラリーカーをまともに写すのは至難の業でしょう。シャッターチャンスがシビアな為、シャッターを押してから撮影されるまでタイムラグがあるデジカメは不向きなのです。200mm以上の望遠レンズも欲しい。そもそもラリーカーの疾走している写真を撮るのはウルトラ難しいです。ラリーカメラマンは尊敬に値します。

観戦するのはSSスタート付近よりゴール地点を狙った方が気合い入った走りが見られるかもしれません。
個人で行くなら下位ゼッケンも見て下さいね。ラリーをやってるのはワークスだけじゃないんです。メディアではなかなか見られないですよ。

年に1件くらい詳しいお問い合わせのメールが来るのですが、ちょっと親切に御返事したら、お礼の言葉も無く「そんなことまで知るわけないじゃん!」な質問が怒濤のように来て怒ったことがあります。

何が危険かをよ〜く考えて、楽しんで見てきて下さい。(^.^)/~~~


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