■ミッション解説 

(7.MAR.00 UP)

 スバル4WDのミッションの特長はドライブピニオンシャフトが中空構造のドリブンシャフトの中を貫通していることにあります。エンジンからの出力はクラッチを通して、メーンシャフト→ドリブンシャフト→センターデフ、ここからフロントへはドライブピニオンシャフト→フロントデフ、リアへプロペラシャフト→リアデフへと繋がっていきます。
 縦置きミッションの4WDの場合、センターデフからフロントへの出力シャフトを一旦ミッションケースの外に出して別体のフロントデフケースまで繋ぐものが一般的ですが、スバルの場合はこれを二重構造のシャフトによってコンパクト&軽量に収めているのです。このような効率の良いレイアウトが実現したのも前後長が短い水平対抗エンジンを(たまたま?)採用していたからといえそうです。(別にV型エンジンでもいいんですけど)

(21.MAR.00 UP)

 このレイアウトのため、フロントデフにはオフセットの大きいハイポイドギアが使われています。その保護のため、特にフロントLSD装着車の場合、特に高い負荷に耐えられるAPI GL-6 規格のミッションオイルの使用が望ましいようです。GL-6のミッションオイルってあんまりみかけないんですけどね。
(BPのX5116はGL-6です)

(このミッションオイルの件に関しては愛知県の某ラリーストの方から情報を頂きました)

API 規格について参考H/P:●車のエンジンオイルと添加剤のページ▽総目次オイルのグレード(API規格)


(19.JAN.00 UP)
ミッション図説

 これがレガシィのミッション内部の変速ギアです。(一番上の図とは上下が逆です)
 ミッションって必要なときだけギアを噛み合わせるものだと思っていませんか?実は全てのギアは常に噛み合っているのです。(リバースを除く)
 その代わり各ギア(メーン側かドリブン側かどちらか一方)はシャフトに固定されず自由に回るようになっています。
 シフト操作をするとシフトフォークがスリーブをスライドさせ、ギアの側面に付いているギザギザの歯に噛み合います(スリーブの側面にもそれと噛み合うギザギザの歯がある)。それによりハブ(シャフトに固定)とギアを接続し駆動力を伝えるのです。その仲立ちをするのがシンクロリングです。
 1-2速のスリーブはリバースドリブンギアを兼ねています。


(13.FEB.00 UP)

 これは1速ドリブンギアです。一番上のリング風なところはコーン(テーパー)形状になっています。スリーブの移動によってシンクロリングがここに押しつけられてシャフトの回転がこれから入れようとするギアに合っていくのです。そしてスリーブがその下の山形のギザギザにしっかり噛み合ってギアが入るわけです。

 無理なシフト操作を続けているとギアが入りにくくなるのはギザギザの山の頂点が削れてくるからです。コーン部も摩耗するけどね。 ダブルコーンシンクロとかいうのはシンクロリングが2つ重なるようにあってコーン部も2重でより斬新的に強力に回転を合わせてくれる物です。BC/BFは全てシングルコーンです。

※ハイポイドギア:食い違い歯車の一種。 ベベルギアに比べて音が静かであり、回転が滑らかで強度に優れているなどの特徴も持つ。製造には高い技術が必要らしい。


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